・目次をクリックすると、本章に含まれる項目の表示・非表示ができます。
単に著作物というと広範囲なものとなりますが、著作権法で保護される著作物は次の①及び②をともに満たすものとなります。
美術工芸品は美術の著作物に含まれるとされていますが、例えば量産される工業製品のデザインは、
著作権法上の著作物とはならず、著作権としての保護は受けられません。
なお、工業製品のデザインは意匠権として意匠法の保護が受けられる可能性があります。
「思想又は感情」より、事実それ自体(歴史的事実、物理法則等)は著作物には該当しません。
ただし、学術論文等においてその事実の表現方法(記述の仕方等)に独創性が認められれば、著作物に概要します。
「表現」より、「思想又は感情」自体も著作物には該当しません。
例えば、物理法則の学説自体はどんなに優れたものであっても、著作物にはなりません。
ただし、学術論文等における表現に「独創性」が認められれば、その独創性のある表現については、著作物となります。
また、キャラクターは、小説や漫画等に登場する架空の人物や動物等の姿態、容姿、名称、役柄等の総称を指し、
小説や漫画等の具体的表現から昇華した抽象的なイメージをいい、キャラクター自体はアイデアであり、具体的表現ではないため、
著作物には該当しないとされています(中山信弘著「著作権法」有斐閣、2010年2月20日初版第5刷)。
ただし、キャラクターが例えば漫画等の具体的表現に対しては著作物として著作権の対象となるとされています(同)。
「創作性」は、模倣せずに独自に創作したものであれば、そのレベルは問題となりません。
例えば、幼稚園児自らがクレヨン等で描いた絵であれば著作物となります。著作権は人格的側面もあり、経済的価値があるか否かとは別問題です。
また、他人の著作物と類似していても、創作は独自に行なったものであれば、創作性が認められて著作物となります。
この場合には、類似した表現の著作権が並立することになりますが、各著作権者は自己の著作物の表現を利用する限り、
他の著作物の利用とはならないため、支障となりません。ただし、それら両著作権者以外の者は、それらの著作物を許諾なしに利用できません。
なお、事実や状況、感情等を表現する場合に、一般人が通常使用するような表現やありふれた表現には創作性は認められません。
「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、文化の発展を寄与することを目的とする」著作権法の趣旨に反し、
一般人の表現を制約することになるからです。
したがって、言語の著作物の場合、一文や短い文章は、通常、創作性が認められないことが多くなります。
前記1項の著作物の定義は抽象的ですので、著作権法では、著作物についての具体例を以下のとおり列挙しています。
小説、脚本、論文、講演等。事実の伝達にすぎない雑報、時事の報道は著作物に該当しません。
楽曲、楽曲を含む歌詞、旋律だけが主要な要素である浪曲。即興演奏も含まれます。
振付(振付自体)が著作物であり、舞踏行為は著作物ではありません。
なお、舞踏行為は、実演に該当し、墓塔行為を行う舞踏家(実演家)は著作隣接権による保護を受けられます。
絵画、版画、彫刻、漫画、劇画、生花、舞台装置、書等が該当します。
なお、書については、書として具体的に表現されたものが著作物であり、
その基礎となる字体(フォント)は著作物ではありません。
住宅、ビル、神社仏閣、橋梁等等の立体的な建築物が該当します。
なお、建築物の設計図は、建築の著作物ではなく、(平面的な)図形の著作物に該当します。
また、建築物のすべてが著作物に該当するものではなく、芸術的価値のある建築物が著作物となり、
通常の住宅建築等は著作物とはなりません。
学術的な性質を有する地図、図面、図表、模型等が該当します。
劇場用映画、テレビ映画、ゲームソフトの映像等が該当します。
印刷写真、ネット掲載写真が該当します。
アプリケーションプログラム、オペレーションシステムのプログラム、言語プロセッサ等のプログラムが該当します。
なお、ソースプログラムがコンパイラーで変換されたオブジェクトプログラムはソースプログラムの複製となります。
プログラム言語、規約、解法は著作物には該当しません。
上記(1)〜(9)の著作物(原著作物)の翻訳、編曲、変形、脚色、映画化等により創作した著作物が該当します。
素材の選択又は配列により創作性を有するものが該当します。
例えば、百科事典、辞書、新聞、雑誌、論文集、文学全集等が含まれます。
情報の選択又は体系的な構成により創作性を有し、コンピューターにより検索できるもの(上記(11)を除く)が該当します。
前記1項の著作物に該当するものであっても、公的機関等により作成され、
国民に広く周知し自由な利用を図ることが適切なものについては独占の対象外としたものです。
法令には、国や地方公共団体の条約、法律、政令、省令、条例、裁判所の規則が含まれます。
これに対して、研究者等が私的に作成した法律私案などは含まれず、著作物として保護対象となります。
国、地方公共団体の機関、独立行政法人、地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他が該当します。
しかし、これらの団体等の意思伝達文書ではないもの、例えば、内部文書、白書、報告書、国土地理院発行の地図等は該当しないため、著作権の対象となります。
裁判所の判決、決定、命令、審判、行政庁の裁決・決定で裁判に準ずる手続きにより行われるものが該当します。
したがって、特許庁における特許無効審判などの各種審判等も該当し、著作権の保護対象とはなりません。
ただし、判決等で第三者の著作物が利用(引用)されている場合に、判決中から他人の著作物(例えば俳句)を抽出して、
判決と関係ない形で利用するとその著作権の侵害となります。
前記(1)〜(3)の翻訳物・編集物で、国、地方公共団体の機関、独立行政法人、地方公共行政法人が作成したものです。
ただし、法令等であっても、民間の業者が翻訳、編集して発行したもの(例えば、条約の翻訳、法令集、判例集)は該当せず、著作権の対象となります。